
登録商標「村雨」は、大阪の貝塚で170年以上にわたり守り継ぐ村雨本舗 塩五の代表銘菓です。
和菓子の世界では、ふるいで漉した餡と米粉、砂糖を混ぜ合わせてそぼろ状にし、木型に入れて蒸し固めたものを時雨羹と呼びます。名の由来には諸説ありますが、しっとりした蒸し菓子がほろっと崩れる食感が、ぱらぱらと降る雨の趣に通じたのでしょう。江戸時代中期ごろから大阪泉州(南大阪地域)の郷土菓子として親しまれてきました。
塩五は、貝塚の浜辺に降る雨を謳った和泉八景「貝浦村雨」から名をいただいて、この郷土菓子を「村雨」と名付け、泉州を代表する伝統銘菓として皆さまにご愛顧いただいております。
見た目は素朴な小豆色の棹物ですが、優しくはらりと崩れる口当たり、どっしりとした米粉の噛みごたえ、上質な小豆と米の香りとほんのりした甘さがお口に広がります。原材料は小豆・米粉・砂糖のみ、保存料などの添加物を一切使用していない生菓子のため、毎日蒸し上げて出来立ての風味を大切にしています。
はらりと降っては去る村雨のように、風味と食感のはかなさと豊かな余韻を、どうぞお楽しみください。





村雨の 露もまだ干ぬ まきの葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
この歌は鎌倉時代初期に編纂された新古今和歌集の一首で、寂蓮法師が村雨の幽玄を詠んだものです。はらりと降っては通り過ぎる雨を叢れた雨、村雨と呼びます。村雨は、さあさあと音を立てながら樹々を濡らし 露や霧などの情緒を生み出すものとして、古来よりその風情が謳われてきました。貝塚の浜辺に降る村雨も、「貝浦村雨」として和泉八景のひとつに数えられています。
和泉八景とは、かつての和泉国、今でいう南大阪地域の風情ある景色を八つ選んだものです。10世紀の北宋で選ばれた水墨画の画題「瀟湘八景」にならって、その地域の景勝地を八つ選ぶ風流が16世紀ごろから全国で行われていました。
当店の「村雨」は、創業地である貝塚の情景を讃えた和泉八景の「貝浦村雨」から名をいただいています。寂蓮法師の歌に詠まれるように、はらりと崩れるはかなさと豊かな余韻を感じていただける蒸し菓子です。
❶ 茅渟遠帆 茅渟は泉州あるいは大坂の古名で、現在の大阪湾は「茅渟海」と呼ばれていました。遠くに白い帆を立てた舟が行き交う大阪湾の景色です。
❷ 高師浜月 現在の浜寺公園あたりの高師浜の月の光景です。白砂青松で知られた泉州の海岸の中でも、高師浜は特に名高い松林の風景で知られていました。
❸ 牛滝紅楓 現在でも紅葉の名所として知られる岸和田市の山間を流れる牛滝川上流の景色です。特に美しい楓の紅葉を「紅楓」と表します。
❹ 葛嶺峰雲 大阪府と和歌山県の境にある和泉葛城山の峰にかかる雲の景色です。葛城山は山深く、古社が点在する霊峰として知られています。
❺ 貝浦村雨 一団の通り雨のことを村雨と表します。遠くに淡路島を望む貝塚の浜辺に降る村雨の情景です。
❻ 近義夕照 近義は現在の貝塚市北西部あたりの地名です。溜め池も多く、当時は田畑が広がっていたのでしょう。その近義が夕日に照らされた景色です。
❼ 日根暮雨 泉佐野市の日根野には、今も寺社などの歴史的景観が残ります。日根の夕暮れどきに降る雨の景色です。
❽ 須磨漁火 かつて街の灯りが小さかった時代、夜の海に浮かぶ数多の漁火は印象的だったでしょう。泉州から大阪湾越しに望む須磨の漁船が灯す漁火です。
創業安政元年(1854年)、塩五は大阪府貝塚市で泉州銘菓「村雨」をつくり続けてきた御菓子司です。